麻布大学も学術会員として参画しているデータアントレプレナーコンソーシアムのフェロープログラムで開催されたピッチコンテストにおいて、当研究室の鬼頭久美子さん(博士後期課程3年)のアイデアが評価され、データフォーシーズ賞(データフォーシーズ様からの企業賞)をいただきました。
大学のNEWSにも取り上げていただきました。
たいへん名誉なことですね。どんなアイデアだったのか、そもそもデータアントレプレナーフェロープログラムって何なのか、勉強しようと思ったきっかけなど、鬼頭さんに教えてもらいました。
データアントレプレナーフェロープログラムとは・・・
電気通信大学が実施しているデータ関連の人材育成プログラムになります。アントレプレナーとは、「起業家」という意味です。このプログラムは、データサイエンティストとしての基礎的な技術を持ち、新しい価値を生むビジネスを作り出すことができる人材として『データアントレプレナー』を育成するプログラムです。
▸プログラム詳細:https://de.uec.ac.jp/program/
※文部科学省 科学技術人材育成費補助事業 データ関連人材育成プログラム 国立大学法人電気通信大学HP
今年度は総勢31名の学生及び社会人が受講しており、確率・統計学やプログラミングなどのデータサイエンスの基礎から、不動産や金融業界の実データを用いた実戦さながらの実技まで幅広く学んでいます。このたび賞をいただいた「ピッチコンテスト2020」(10月30日開催)は、「データアントレプレナー実践論」という授業の一環で行われたコンテストです。第一線を走る起業家からデータサイエンスのビジネス活用事例を学び、最終日には、データサイエンスを活かした事業提案を自らの視点で考え、発表するというものでした。
どんなアイデア・・・?
以前、大学で実験実習助手として働いていた際に、退学する学生の兆候がもっと早く分かっていたら、事前に何かフォローできたのでは?と感じていました。そこで今回、「退学者の兆候検出とチャットボットによる学生サポート」を立案しました。
過去の退学者の欠席数や成績など様々なデータから、『決定木』という機械学習の手法を使って、退学につながる要因を把握します。イメージとしては、退学の有無に影響する様々な要因を木の枝のように分類・分岐します。
退学につながる要因を基に在学者向けの退学兆候検出システムを作ります。
その兆候検出システムとチャットボットを連動させて、学生とコミュニケーションをとるという仕組みです。
全体の流れとチャットボットのイメージとしては、このような感じです。
このプログラムを受講しようと思ったきっかけ・・・
私が大学院で学んでいる栄養疫学は、現在の食生活が将来の健康や疾病に与える影響を集団ベースで考えます。たとえば、大規模集団の長期にわたる食習慣など『食のデータ』を収集・解析(データサイエンス)するために、統計学や数学、コンピューターの知識・技術が必要になります。近年、AIの普及が急速に進む中で、最新の技術をどのように食生活のデータ(情報)と結び付けることができるのか、その可能性について最新の手法や技術を学びたいと思い、このプログラムを受講しました。
今回、お話したチャットボットですが、実は、このプログラムの中でIBMのWatoson などを使って比較的簡単に作成できることを学びました。また、このプログラムには様々なバックグラウンドの方が受講されていて、グループワークによるデータ分析では、データサイエンスに対する多様な考え方に大変刺激を受けています。
▸IBM Watoson:https://www.ibm.com/jp-ja/watson
鬼頭さん、ありがとうございました。そして、おめでとうございます!
栄養疫学もデータサイエンススキルと共通する部分が多いので、食の専門知識や栄養疫学の知識とデータサイエンスの知識を掛け合わせた能力があると無限の可能性が広がりそうですね。食に限らず、データサイエンスティストを目指す学生さんやデータサイエンスを学びたい学生さんが増えることを期待しています。
このプログラムは1年間のカリキュラムなので、興味がある方は募集要項をCheckしてみてください。
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