【研究成果】ペット飼育と肥満の関連について:システマティックレビュ―およびメタアナリシス


ペットの飼育の有無と肥満の関連についてのシステマティックおよびメタアナリシスを実施した研究を専門誌で論文発表しましたので紹介します。
https://www.mdpi.com/1660-4601/17/10/3498 20205月ウェブ上に公開)。



ペット飼育と肥満の関連について:

システマティックレビュ―およびメタアナリシス

(K.Miyake, et al. Association between Pet Ownership and Obesity: A Systematic Review and Meta-Analysis.IJERP 2020; 17(10), 3498.)


ペットを飼育している人は、飼育していない人と比べて、現在や将来の健康状態に違いはあるでしょうか?


2019年度卒業生が卒業論文としてまとめた、ペット飼育と肥満の関係におけるメタアナリシスの結果の論文が、専門誌に掲載されました。

https://www.mdpi.com/1660-4601/17/10/3498 2020年5月ウェブ上に公開)。


この研究は麻布大学の「ヒトと動物の共生システム」を科学的に解明し、その成り立ちを介してヒトの健康社会の実現に貢献することを目的としたブランディング事業の一環としての取り組みで実施された研究です。研究室の垣根を越えて、他学部と連携した横断的な研究となっています。

本研究の方法および成果の概要についてまとめました。



【研究方法の概要】

システマティックレビュ―とメタアナリシスの方法を主な手順に沿ってご紹介します。

この研究はPRISMA声明(システマティックレビューやメタアナリシスを実施する際に報告すべき項目が示された声明で、国際的に用いられています)に従って実施しました。

※ここで使用しているオッズ比は、ペットの飼育していない集団における肥満の(になる)人の割合に対して、ペットを飼育している集団における肥満の(になる)人の割合を比で示したものになります。



【研究の主な結果】

システマティックレビュ―に採択された論文は、1992年から2019年までに出版された21研究でした。研究実施国は欧米で実施された研究が多く(アメリカ8研究、オーストラリア6研究、イギリス3研究など)、研究はすべて横断研究(ある一時点における要因と疾病の有無などの関係を検討する研究)でした。また肥満との関連については、3つの分析でペットの所有と肥満に関連があること、反対に5つの分析でペットの所有と肥満ではないこと(BMI25未満)の関連を報告していましたが、多くの分析ではペットの所有と肥満の間に関連がないことを報告していました。

またメタアナリシスでは、BMI 25以上を肥満の指標として調整後のオッズ比1)を報告した5論文(9分析)を統合しました。大人と子供を含めた全体で、ペットの飼育と肥満には関連はありせんでした(図2)。


さらに年齢(子供、大人)を分けて層別解析をしましたが、いずれも関連はありませんでした。最後に、飼っているペットの種類を犬に限定して、犬の飼育と肥満との関連を検討しましたが、全体、年齢別ともに関連はありませんでした。



【この研究結果からわかること】

今回の結果から、ペットの飼育と肥満に関連がないことがわかりました。ただし、このメタアナリシスに含まれる研究はすべて一時点を検討した横断研究であるため、因果関係(原因となるペットの所有が肥満につながったか、つながらなかったかなど)は不明です。また肥満には身体活動や食事といった要因が影響しますが、今回メタアナリシスに含めた研究の多くでは、分析に考慮されていませんでした。さらにペットの種類や犬などの犬種(大型、中型など)も考慮されませんでした。したがって今後は、肥満に影響する可能性がある、これらの要因を含めた追跡研究(将来にわたってある集団の疾病やその要因を追跡する研究)が必要と考えられました。